IPO準備
IPO準備
「IPO準備」とは、企業が公開市場での資金調達を目指し、株式公開(Initial Public Offering)を行うための準備過程を指します。IPOを成功させるためには、厳格な財務報告基準の遵守、透明な経営体制の構築、有効な内部統制システムの確立など、多岐にわたる準備が必要です。IPO準備プロセスには、証券取引委員会への申請書類の提出、財務諸表の監査、投資家向けのロードショーの実施などが含まれます。この段階での適切な準備と戦略的な計画は、市場からの資金調達、企業の知名度と信頼性の向上、さらには長期的な成長機会の創出に直結します。
そんな「IPO準備」に携わる方が知っておきたいIPO準備用語を本ページでご紹介いたします。
- ROE >
- ROA >
- イグジット >
- Ⅰの部 >
- 印刷会社 >
- オーバーアロットメント >
- 会社法 >
- 会社法上の大会社 >
- 各種説明資料 >
- 株式分割 >
- 株主名簿管理人 >
- 仮条件 >
- 監査証明 >
- 監査等委員会設置会社 >
- 監査法人 >
- 監査役 >
- 監査役会設置会社 >
- 幹事証券会社 >
- 期越え上場 >
- 吸収金額 >
- 金融商品取引法 >
- グリーンシューオプション >
- グロース市場 >
- グローバルオファリング >
- 形式要件 >
- コーポレートガバナンス >
- コーポレートガバナンス・コード >
- コーポレートベンチャーキャピタル(CVC) >
- 公開会社 >
- 公開前規制 >
- 公募 >
- コンバーティブルエクイティ >
- J-SOX >
- 時価総額 >
- 自己資本比率 >
- 市場変更 >
- 執行役 >
- 実質審査基準 >
- 資本金 >
- 資本準備金 >
- 資本政策 >
- 資本余剰金 >
- 指名委員会等設置会社 >
- 社外監査役 >
- 社外取締役 >
- 従業員持株会 >
- 主幹事会社 >
- ショートレビュー >
- 証券代行機関 >
- 証券取引所 >
- 上場基準 >
- 上場ゴール >
- 上場審査 >
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- 持分法適用会社 >
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- 連結財務諸表 >
- ロードショー >
- ロックアップ >
-
ROE
Return on Equityの略称で、「自己資本利益率」とも呼ばれ、企業が株主から預かった資本をどれだけ効率的に使って利益を生み出しているかを示す財務指標です。ROEは、企業の純利益を株主資本(自己資本)または(EPS(一株当たり利益))÷(BPS(一株当たり純資産))で割ることにより計算され、パーセンテージで表されます。
ROEが高いということは、企業が株主の投資に対して高いリターンを提供していることを意味し、効率的な資本の使用と経営の効果を示しています。この指標は、企業がどれだけ利益を上げる能力が高いか、そしてその利益が投資された資本に対してどれだけの効果をもたらしているかを投資家に示すために広く用いられます。
ROEは、異なる企業や業界間での比較、または同一企業の時間を通じたパフォーマンスの追跡にも有用です。企業が長期にわたり高いROEを維持できる場合、それは持続可能な成長と競争力の強さを示しており、投資家にとって魅力的な投資先と見なされます。ただし、過度に高いROEは過剰な負債利用の結果であることもあり、その場合はリスクが伴うことも考慮する必要があります。 -
ROA
Return on Assetsの略称で、「総資産利益率」とも呼ばれ、企業がその持つ資産をどれだけ効率的に利用して利益を生み出しているかを示す財務指標です。この指標は、企業の純利益を総資産で割ることによって計算され、パーセンテージで表されます。
ROAが高いほど、企業が保有する資産を効果的に活用して高い利益を上げていると評価されます。これは、企業の運用効率の良さを示す重要な指標であり、資産が多くを占める業種において特に重視されます。例えば、製造業や不動産業など、大量の設備投資や不動産投資が必要な業界での企業パフォーマンス評価に有用です。
投資家はROAを用いて、企業がどの程度の資産を保有しているかにかかわらず、その資産からどれだけ利益を引き出しているかを評価します。また、ROAは企業間や異なる時期のパフォーマンスを比較する際の基準としても活用され、企業の運営効率の改善や資産の適正な管理が行われているかを判断するための指標となります。なお、米国では企業の収益性を判定するときにROAやROEが用いられることが多くあります。 -
イグジット
エグジット(EXIT)とも呼ばれ、起業家や投資家がスタートアップや成長企業に投資した資金を回収するプロセスを指します。イグジットは投資のリターンを実現するための最終段階であり、公開市場での株式公開(IPO)、企業の売却あるいは他の企業による買収(M&A)など、様々な方法で行われます。イグジット戦略は、投資家が投資に入る前に計画されることが多く、その戦略には企業の売却時期、目標とする売却価格、最適な買収者やIPOのタイミングなどが含まれます。成功したイグジットは、投資家にとって大きな収益をもたらす一方で、企業創設者や従業員にも利益を提供し、更なるビジネスチャンスへの資金を再投資する機会を開くことができます。また、イグジットは企業が成熟し、持続可能なビジネスモデルを築いた証でもあります。投資家はこのプロセスを通じて、リスクを取って支援した企業が市場での成功を収める姿を見ることができます。
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Ⅰの部
企業が証券取引所への上場申請に際して提出する一連の資料の中で、金融商品取引法に基づく開示書類の一部を指します。正式名称は「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」であり、その内容は連結子会社の有無によって異なりますが、一般的には80~200頁程度に及びます。この書類は、新規上場時に公衆縦覧に供され、投資家に企業の概要や財務情報、事業内容、リスクファクターなどを提供するものであり、投資家への情報提供が主な目的です。上場を申請する際には、この「Ⅰの部」とともに「Ⅱの部」(マザーズ市場では各種説明資料)も提出されますが、前者は新規公開時に投資家に配布される「目論見書」とほぼ同様の内容を含んでいます。
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印刷会社
IPO関連書類の印刷を専門に行う会社を指します。関連書類には有価証券報告書や目論見書、株券などが含まれます。印刷会社は、これらの書類を正確かつ迅速に印刷・納品することで、IPOのスケジュールをサポートします。正確な印刷と納期の遵守は、IPOプロセス全体の信頼性を高めるために重要です。
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オーバーアロットメント
公募や売出しにおいて需要が供給を超えた場合に、主幹事証券会社が株主から株式を借り入れて投資家に追加売出しを行う手続きを指します。この方法は、市場の需要を満たすと同時に価格の安定を図る効果があり、新規公開株の市場導入時によく用いられます。オーバーアロットメントの上限は通常、公募枚数または売出枚数の15%までと定められており、証券取引所や金融商品取引法によって規制されています。この手続きを使うことで、株式市場における株価の急激な変動リスクを緩和し、スムーズな株式流通と市場デビューを支援するとともに、投資家に対してもより多くの投資機会を提供することが可能になります。ただし、オーバーアロットメントによる追加売出しは、市場の状況や株価に影響を及ぼす可能性もあるため、主幹事証券会社は慎重な判断が求められます。さらに、株主から借り入れた株式を追加で売り出すという特性上、後に株式を株主に返却する必要があるため、その際の市場価格の変動リスクも考慮する必要があります。このようにオーバーアロットメントは、特にIPO市場において非常に重要な役割を果たしており、公開価格の設定、市場受け入れ能力の見極め、そして売出し後の株価管理など、多角的な市場戦略の一環として用いられています。
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会社法
会社の設立、組織、運営、解散等の基本的なルールを定めたものであり、2006年5月1日に施行されました。この法律には株式会社や合同会社といった様々な企業形態に関する規定が含まれており、会社に関する基本的な枠組みを提供しています。会社法の下で、会社は取締役や監査役などの役員の選任、資本金の払い込み、株式の発行、定款の変更、決算の承認などの重要な意思決定を行います。また、2015年の会社法改正では、コーポレートガバナンスの強化やグループ会社に関するルールの整備など、より透明性と責任の所在が明確な経営が求められるような変更が行われました。この改正は、経営者や取締役の責任をより明確化し、株主の権利を保護することを目的としています。特に取締役会や監査役等を置く体制の見直し、取締役の独立性の強化、取締役会の機能の充実など、経営の透明性を高めるためのさまざまな制度が導入されています。会社法は、日本の企業が国際競争においても信頼性の高い経営を行い、投資家からの信頼を獲得するための土台となる法律であり、経営のあり方や企業統治に関して現代的なニーズに応えるための進化を続けています。公開企業においては特に重要な法律であり、IPOを目指す企業にとっても会社法に基づく遵守事項を十分に理解し、適切に対応することが極めて重要となります。
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会社法上の大会社
最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上または賃借対照表の負債の部に計上した金額の合計が200億円以上である株式会社を大会社と定義しています。この分類により、大会社は特定の法的義務を負うことになり、監査役の設置や財務諸表の公開など、より透明性の高い企業運営が求められます。大会社には厳格なガバナンス基準が適用されるため、投資家や利害関係者は企業の財務健全性や経営の信頼性をより詳細に評価することができます。この法的枠組みは、大規模な企業活動が社会や経済に与える影響を考慮して設けられています。
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各種説明資料
東京証券取引所のグロース市場もしくは名古屋証券取引所のネクスト市場へ新規上場申請する際に、Ⅱの部の代わりに提出する資料で上場審査の際の実質的な審査資料となるものです。
Ⅰの部をより詳細に記載したもので、事業内容、経営管理体制、過年度の業績及び今後の事業計画、主幹事証券や監査法人との契約等、Ⅰの部よりも広く詳細に記載します。なお、Ⅰの部は、上場承認後に公表されますが、各種説明資料は外部に公表されることはありません。またⅡの部と比較しして記載項目が絞られている他、会社の上場準備に係る負担軽減に配慮された内容となっています。 -
株式分割
企業が既存の株式を複数の新しい株式に分けることを指します。この手法は、株式の単価を下げることで、より多くの投資家にとって手頃な価格にし、株式の流動性を高める目的で行われます。株式分割によって株式の総数は増加しますが、株主の持つ企業への所有比率は変わらず、企業の時価総額にも直接的な影響はありません。
例えば、2対1の株式分割を行う場合、株主は保有する各株式につき2株の新株を受け取ります。この操作により、株価は理論的には半分になりますが、株主が保有する株式の総価値は変わりません。株式分割は、株価が高騰し、一般の投資家が株式を購入しにくくなった場合に、よく用いられる戦略です。
株式分割を行うことで、株式がより多くの市場参加者にアクセスしやすくなり、取引量の増加を促すことが期待されます。また、投資家にとっては、株式を小口で購入しやすくなるため、投資の機会が拡大します。 -
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株主名簿管理人
企業が株主名簿の管理を委託する信託銀行や証券代行会社などの機関で、投資家の株式所有情報の正確な管理や株式関連業務の運営をサポートします。株主名簿管理人の役割は、株主名簿の維持管理にとどまらず、株主総会の準備や運営、投票権行使の管理など、会社法に基づく株主関連業務の幅広い面をサポートするものであり、特にIPOを目指す企業においては、株式公開準備中の企業に対し、IPO関連業務のサポートも提供します。これらの業務は、会社のガバナンス構造の中核をなすものであり、株主と会社間のコミュニケーションや、株主の権利保護を支援することで企業の信頼性を高め、投資家との良好な関係構築に貢献します。企業が株主名簿管理人を選定する際には、その業務の実績、信頼性、提供できるサービスの範囲、コストパフォーマンスなどを慎重に検討する必要があり、上場後の株式の安定した取引の基盤を形成するための重要なパートナー選びとなります。
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仮条件
IPOにおける株式の発行価格決定手法であるブックビルディング方式において、証券会社が株式発行前に提示する価格帯のことで、投資家はこの価格帯を参考にしながら株式を購入するかどうかの意向を示します。仮条件は一般に、予定される上場価格を示す「想定価格」を基に設定され、機関投資家や他の幹事証券会社、市場の需給状況、類似企業との比較、市場環境、上場日までの期間に予想される価格変動リスクなど、多角的な分析と評価を基に、主幹事証券会社と発行企業が協議を行った上で決定されます。IPOの成功を左右する重要な要素の一つであり、正確に市場の需給バランスを反映した価格設定が求められるため、市場の状況を正しく理解し、適切な価格決定を行うための慎重な審査と分析が必要とされます。株式の仮条件設定後、投資家は自身の投資判断に基づき、その価格帯内で株式を購入するかどうかの意向を示し、最終的な申込状況に応じて最終的な発行価格が決定されます。これにより、IPOを通じた資金調達の最終的な規模が確定し、企業は市場から資金を調達するための基準となります。また、仮条件は投資家にとって重要な参考情報であり、市場における企業の価値評価を反映する意味でも重要です。そのため、仮条件が適切に設定され、市場との調和を図りながら株式を適正に価格付けすることは、IPOを成功に導くために必要不可欠なプロセスといえるでしょう。
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監査証明
公認会計士や監査法人が発行する書類で、企業の財務諸表が適正に作成されていることを証明するものです。IPOを行う際には、過去数年分の財務諸表について監査証明を取得することが求められ、これにより、投資家は企業の財務状況を信頼して判断することに繋がります。監査証明の取得は、企業の信頼性を高めるとともに、IPOプロセスにおける重要なステップです。
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監査等委員会設置会社
会社法に基づいて設立された企業ガバナンスの一形態で、主に取締役の業務執行を監査する機能を持った委員会を置くことが特徴です。この体制を採用する会社では、監査等委員会が独立した組織として、取締役の監査を行い、企業の健全な経営を支える役割を担います。監査等委員会は、取締役3名以上で構成され、その過半数は社外取締役でなければならず、これには企業の透明性と公正性を高める目的があります。2015年の会社法改正以降、この監査体制はさらに重要性を増しており、特に公開企業や大企業では、株主の利益を守り、不正やミスマネージメントを防ぐために、効果的なチェック機能としての監査等委員会が求められています。監査等委員会設置会社の設立は、企業が取り組むべきガバナンスの強化という世界的なトレンドにも対応するものであり、経営の透明性を高め、企業価値の向上を図るために、取締役とは独立した立場で企業の監査に関わり、時には指導や助言を行うこともあります。このように、監査等委員会設置会社は、会社法における企業ガバナンスの高度化を促す重要な機関として位置付けられ、現代の企業経営においては欠かせない存在となっています。
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監査法人
法人格を持つ監査機関で、5人以上の公認会計士で構成され、会社法や金融商品取引法に基づく監査業務を主に行います。企業の財務諸表の正確性を保証する監査証明業務を担い、企業の信頼性を投資家やステークホルダーに向けて保証する役割を果たす重要な存在です。また、監査業務にとどまらず、会計や経営に関するコンサルティングサービスを提供することもあり、特にIPOを目指す企業に対しては、上場に際しての財務報告の準備、内部統制の構築、財務戦略の策定など多角的な支援を行います。会社経営の透明性を高めるための外部からのチェック機能を果たし、投資家保護や市場の健全性の維持に不可欠な役割を担う一方で、グローバル化する経済環境の中で国際的な監査基準への対応能力も求められています。
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監査役
監査役設置会社において、取締役の職務の執行を監査する役割を持つ株式会社の常設機関のことで、業務監査と会計監査の二つの権限をもちます。監査役は、企業の経営陣や組織に対して独立した立場から監査を行い、企業の財務報告書や内部統制の適正性を確認し、株主の利益を保護します。企業の透明性と信頼性を高めるために重要な存在であり、一般的には外部の独立した専門家や経営者が就任します。経営陣や株主から独立した立場で監査を行うことで、企業の持続的な成長と健全な経営を支えます。株主総会によって選任され、公開会社の任期は原則4年です。公開会社のうち、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社以外の委員会設置会社ではない大会社(資本金の額が5億円以上か、負債の合計金額が200億円以上の株式会社)は監査役会を設置し、3人以上の監査役を置いたうえ、半数以上が社外監査役で、常勤が1人以上必要です。委員会設置会社では監査役を置いてはなりません。最近では、社外取締役を確保しやすいという理由から、監査役設置会社から監査等委員会設置会社に移行する上場企業が増えています。
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監査役会設置会社
会社法に基づいて設立された企業の一形態です。主に取締役の業務執行を監査する機能を持った委員会を置くことが特徴で、取締役の監査を行い、企業の健全な経営を支えます。監査役会は独立した組織であり、取締役3名以上で構成され、その過半数は社外取締役でなければなりません。監査役会の設置は、企業の透明性と公正性を高め、不正やミスマネージメントを防ぐために重要です。経営の透明性を高め、企業価値の向上を図るために、取締役とは独立した立場で企業の監査に関わり、時には指導や助言も行います。監査役会設置は、現代の企業経営において不可欠であり、会社法のガバナンス要件を満たすために重要な役割を果たします。
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幹事証券会社
有価証券の募集や売り出しの際に中心的な役割を果たす、引受・販売等を行う証券会社のことを指します。幹事証券会社は複数の証券会社などがシンジケート団を組成し、共同で引き受けることが多く、IPOに際してIPO企業に対し多岐にわたってサポートを行います。
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期越え上場
上場日が上場申請事業年度の翌事業年度となる上場のことです。通常、上場日は上場申請事業年度内に行われるものと考えられますが、審査日程の柔軟化や上場時期の分散化の要請から、上場日のタイムリミットは上場申請事業年度の決算数値が確定する定時株主総会の開催日の1日前まで延期されます。これにより、3月決算企業の場合、最も早い上場時期は12月であり、一般的には3月や6月の上場が多く見られます。しかし、3月決算企業が6月までに上場できない場合、上場申請事業年度の定時株主総会終了後の再上場申請となり、最短でも3か月は延期されることになります。
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吸収金額
株式市場において企業が株式公開を通じて市場から調達する資金の総額を指し、企業の規模や市場の影響力を示す重要な指標です。IPOにおける公募価格や売出し価格、オーバーアロットメントなどを合わせた金額で予想され、この金額が市場に与える影響は大きく、通常、吸収金額が小さいほど株式の初値が高騰しやすく、投資家にとって魅力的な投資先となりやすい傾向にあります。また、特に小型案件で吸収金額が10億円以下の場合、市場からの注目度が高まり、投資家からの需要も増加することが見込まれます。企業にとっては自己資本の拡充、財務基盤の強化、新たな事業機会の創出といった経営戦略の観点からも極めて重要であり、証券市場においても新規株式の受け皿としての機能を果たし、健全な市場環境の維持に寄与しています。しかしながら、吸収金額が大きすぎると市場への影響が過大となり価格の安定性が損なわれるリスクがあるため、企業と主幹事証券会社は、市場条件や投資家のセンチメント、その他の経済的要因を考慮して慎重に吸収金額を決定する必要があります。
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金融商品取引法
証券市場の公正性と透明性を確保し、投資者の保護を目的とする日本の法律のことです。この法律に基づき、企業は情報開示や取引の適正化を求められます。IPOを行う企業は、金融商品取引法を遵守することが必須であり、これに違反すると厳しい罰則が科されます。金商法とも呼ばれています。
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グリーンシューオプション
公募または売出しにおいてオーバーアロットメントが行われる場合に、主幹事証券会社が利用できる一つの手段です。このオプションは、株価が引受価格よりも高い水準で推移している場合に市場から高価で株を購入する代わりに、引受価格で株を追加調達するために使用されます。つまり、公開価格で追加の株を発行会社から購入し、これを市場に売出すことができる権利です。グリーンシューオプションを行使することで、主幹事証券会社は市場での株価の安定化を図りつつ、株価が公開価格より上昇している場合にもコストを抑えて株式を調達することが可能になります。このメカニズムにより、新規公開後の市場の過度な変動を抑え、よりスムーズな市場環境を維持する助けとなります。
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グロース市場
東京証券取引所が2022年の市場再編により設立した新市場区分の一つで、特に成長が見込まれるベンチャー企業や小規模な企業を対象としています。この市場は、高い成長可能性を持つ企業に焦点を当て、投資家に新たな投資機会を提供することを目的としています。グロース市場には比較的緩やかな上場基準が設けられており、株主数150人以上、流通株式数1,000単位以上、流通時価総額5億円以上などが条件とされています。これにより、成長段階にある企業がより容易に資本市場へのアクセスを得られるようになり、資金調達とさらなる成長を目指すことが可能になります。
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グローバルオファリング
株式や債券等の有価証券を複数の市場で同時に募集・売出しをすること。発行会社が日系企業の場合、国内の市場だけではなく、米国やユーロ市場をメインとした海外市場においても同時期に募集・売出しを実施することを指します。グローバルオファリングを活用したIPOの場合、資金調達額の最大化、株主構成の最適化、資金調達手法の多様化などという利点がある一方で、場合によってはIFRS(国際会計基準)や米国会計基準などへの対応が求められるため、それに対応できる人材の確保、通常以上の手間やコストが伴う可能性があります。
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形式要件
形式基準と呼ぶこともあります。形式要件とは、IPOにおいて必要とされる法的および規制上の要件のことを指します。主なものは、株主数、流通株式数、時価総額、純資産の額、事業継続年数等です。
要件は証券取引所や市場によって異なります。形式要件を満たしているかどうかは、上場申請のために提出された資料などで判断されます。 -
コーポレートガバナンス
日本語では一般的に「企業統治」と訳され、企業の価値を高めたり、企業の掲げる理念を実現したりするために、公平な経営を継続して行うための仕組みのことを指します。目的は主に株主のためと言われており、東京証券取引所では、上場企業に「コーポレートガバナンスに関する報告書」の提出を義務付けています。「コーポレートガバナンス・コード」は、金融庁や取引所が中心となって定めたコーポレートガバナンスの基本原則です。
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コーポレートガバナンス・コード
企業の適切な統治や運営に関する基準やガイドラインのことです。企業がより透明性が高く、責任ある経営を行うための指針を示しています。主に株主や投資家、取締役、経営陣、監査役、従業員など、企業に関係する様々なステークホルダーの利益保護と企業価値の向上を目指し、株主の権利・取締役の役割と責任・情報開示と透明性・内部統制とリスク管理・監査と監査役の役割といった内容が含まれます。
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コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)
コーポレートベンチャーキャピタル(CVC。以下CVCと表記。)は、企業が直接または専用のファンドを通じて他のスタートアップ企業や革新的なビジネスに投資する活動です。この種の投資は、従来のベンチャーキャピタルとは異なり、主に大企業が新しい技術やビジネスモデルにアクセスするため、または将来的な成長分野への事業拡大のために行われます。CVCの目的は、単に財務的リターンを追求するだけでなく、企業の戦略的目標に貢献することにあります。これには、新しい技術や製品の早期発見、ビジネスモデルの革新、市場動向の先読み、そして重要な業界内のネットワーク構築が含まれます。CVCを通じて、親企業は新興企業の柔軟性と革新性を利用して自社の製品やサービスを強化し、市場での競争力を高めることができます。CVCプログラムは、投資対象となるスタートアップにとってもメリットがあり、資金提供だけでなく、親企業の専門知識、市場へのアクセス、ブランドの信用力を活用することが可能です。これにより、スタートアップは成長を加速し、業界内での地位を確立する機会を得ることができます。
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公開会社
会社法上、全部もしくは一部の株式について、譲渡制限がない株式を発行できると定款で定めている株式会社のことです。公開会社は株式市場で株式を公開し、一般の投資家に株式を提供します。株主に対し定期的な財務情報を提供し、株主権利を保護、適切な企業ガバナンスを実践し、取締役会や監査役会を設置しなければなりません。公開会社の株式は市場で取引され、企業の価値は市場によって評価されます。投資家は企業の成長や利益に参加し、リスクを分散することができます。上場会社は、原則すべてが公開会社となります。
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公開前規制
IPOを準備する企業が公開前に従わなければならない法的および規制上のルールのこと。これには、情報開示の徹底、内部統制の強化、取締役会の構成の見直しなどが含まれます。公開前規制は、投資家保護の観点から重要であり、企業が適切に対応することで、IPOの成功確率が高まります。しかし、規制に違反すると、上場が延期されるか、最悪の場合取り消されることもあるため、慎重な対応が求められます。
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公募
会社が新しく発行した株を投資家に買ってもらい、資金調達を行うこと。IPO時には、他に「売出し」も行われますが、公募は直接会社に資金が入るため、事業拡大や借入金返済などに利用されます。公募価格の決定は、需要調査(ブックビルディング)を通じて行われ、市場の需要と供給を反映した価格となります。公募の成功は、企業の成長性や市場環境に大きく依存するため、戦略的な計画が必要です。
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コンバーティブルエクイティ
企業が投資家に提供する特定の金融商品で、将来的に特定の条件の下で株式に変換可能な権利を持つ形態の資本です。この形式の投資は、通常、スタートアップや成長期の企業が資金を調達する際に用いられ、投資家は元本保証がない代わりに、将来企業が大きく成長した際の高リターンを期待することができます。
コンバーティブルエクイティは、従来の株式発行や借入とは異なり、初期段階では企業の資本構造や経営における希薄化を最小限に抑えることができるメリットがあります。投資家は、企業が次の資金調達ラウンドで設定される評価額や特定のイベントが発生した時に、予め合意された条件で株式に転換する権利を持つため、企業の成長に連動した利益を享受することが可能です。このため、リスクを取ることに抵抗がなく、長期的な成長ポテンシャルを重視する投資家にとって魅力的な選択肢となっています。 -
J-SOX
金融商品取引法に基づいて設けられた内部統制報告制度のことです。企業が財務報告の正確性と信頼性を保証するための体制を整えることを義務付けており、具体的には内部統制の設計、実施、評価というプロセスが求められ、内部統制報告書として開示することが必要となります。企業の不正防止と透明性の向上が図られ、株主や投資家の利益を保護します。アメリカのSOX法の日本版でJ-SOXと呼ばれています。
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時価総額
企業の株式の市場価格に発行済株式数を掛け合わせた総額のことです。時価総額は、企業の市場での評価を示す重要な指標であり、IPOの成功を判断する一つの基準となります。時価総額が大きい企業は、市場から高い評価を受けていることを意味し、投資家にとって魅力的な投資先とされます。IPO時には、時価総額を適切に評価するために、需要調査やマーケットアナリシスが行われます。
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自己資本比率
企業の総資本に対する自己資本の割合を示す指標のこと。この比率が高いほど、企業の財務基盤が安定していると見なされ、投資家からの信頼が高まります。IPOにおいては、自己資本比率の高さが企業の健全性をアピールするポイントとなりますが、自己資本比率が低い場合は、資本増強策を講じることで、上場審査における評価を高めることができます。
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市場変更
上場企業が現在の市場から他の市場へ移行することです。多くは、企業の成長や戦略的な理由に基づいて行われます。市場変更により、企業は新たな投資家層を獲得したり、取引の流動性を向上させたりすることができます。市場変更には、移行先市場の上場基準を満たす必要があり、そのための準備と手続きが求められます。
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執行役
会社法に基づき設置される役職で、日常の業務執行を担当する役員のことです。執行役は取締役会の決定に基づき業務を遂行し、企業の運営を実質的に担います。執行役の設置により、経営と監督の機能を分離し、ガバナンスの向上を図ることができます。特に指名委員会等設置会社においては、執行役が重要な役割を果たします。
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実質審査基準
実質基準とも呼ばれ、IPOの際に証券取引所が企業の上場適格性を判断するための具体的な基準のことで、形式要件を満たすことが前提です。実質審査基準は形式要件に比べ、金額や数値などの明確な尺度はありません。上場申請会社が安定的・継続的に収益性を維持し、適切な管理体制を構築し、将来を見通した経営を適切に行っているかなど、質的な側面から審査する基準であり、書類審査のみならずヒアリングや実地調査等で確認されます。企業の継続性や収益性、企業経営の健全性、コーポレートガバナンス・内部管理体制の有効性、企業情報の開示の適切さ、その他公益および投資者保護の観点から各取引所が必要と認める事項等を判断されるものになります。
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資本金
企業が設立時や増資時に出資者から受け取った資金の総額のことです。これは企業の信用力や資金力を示す重要な指標であり、IPOの際にも投資家から注目されます。資本金の額は、企業の事業展開や規模に応じて適切に設定されるべきであり、また、資本金は企業の自己資本比率にも影響を与えるため、健全な財務構造の構築において重要です。
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資本準備金
企業が資本金の一部として法定準備金として積み立てた資金を指します。企業が将来の資本増強や損失補填のために備える資金であり、財務の健全性を保つために重要です。IPOの際には、資本準備金の額やその利用計画が投資家に対して説明されます。資本準備金の適切な管理は、企業の安定経営に寄与します。
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資本政策
企業が資本構成や資金調達の方針を定めるための戦略のこと。IPOを含む資金調達方法、株式発行のタイミング、配当方針などを計画・実行するものです。資本政策は、企業の成長と財務の健全性を両立させるために重要であり、長期的な視点での計画が求めらます。後々修正をかけるのは大変になるため、事前に慎重に検討し、実行にうつす必要があります。IPO準備においては、資本政策の明確化が投資家の信頼を得るために重要なものになります。
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資本余剰金
企業が増資などで受け取った資金のうち、資本金や資本準備金に計上されなかった部分のこと。企業の自由に使える資金として、事業拡大や投資などに利用されます。資本余剰金の額は、企業の財務の柔軟性を示すものであり、IPOにおいても重要性が高いものです。資本余剰金の適切な活用は、企業の成長戦略に直結します。
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指名委員会等設置会社
日本の会社法に基づき、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置する会社を指します。取締役会の監督機能を強化し、経営の透明性とガバナンスを向上させることが目的です。指名委員会等設置会社は、経営の意思決定と執行の分離を図り、企業の持続的な成長を支える仕組みとなっています。
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社外監査役
企業の監査役会に所属し、内部から独立した立場で企業の経営を監査する役割を担う役員を指します。社外監査役は、企業の財務報告や内部統制の適正性を監視し、株主や投資家の利益を保護するために重要な存在です。IPOにおいては、社外監査役の設置が企業のガバナンス体制の強化につながります。
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社外取締役
企業の取締役会に所属し、内部の経営陣とは独立した立場で企業の経営を監督する役割を持つ取締役を指します。社外取締役は、経営の透明性と客観性を確保し、企業の長期的な発展に寄与します。IPOにおいては、社外取締役の存在が企業のガバナンス体制を強化し、投資家の信頼を得るために重要です。
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従業員持株会
従業員持株会とは、従業員が自社の株式を購入し、保有するための制度を指します。これにより、従業員が会社の株主となり、会社の成長や業績向上に対する意識が高まることが期待されます。従業員持株会では、株式購入のための資金を従業員が拠出し、また会社が一部補助することも一般的です。持株会の運営は、従業員から選出された委員によって行われ、株式の購入・保管・管理を担当します。従業員は会社の成功に直接的に貢献し、同時に利益を享受することができます。
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主幹事会社
IPOを行う企業に対して、全体の取りまとめやアドバイスを行う証券会社を指し、主幹事証券とも言われます。企業の株式の公開価格の設定、販売戦略の策定、需要調査(ブックビルディング)の実施など、多岐にわたる役割を担います。主幹事会社の選定は、IPOの成功に大きな影響を与えるため、信頼性と実績が重視されます。
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ショートレビュー
IPOの準備段階において、発行体や主幹事会社が行う簡易的な事前審査を指します。このレビューでは、上場基準に適合しているか、財務内容や内部管理体制に重大な問題がないかを確認します。ショートレビューは正式な上場審査の前段階で行われ、問題点が発見された場合には早期に対策を講じることができるため、上場プロセスの円滑化に寄与しており、これにより、上場審査の本格化に向けた準備が整うことになります。
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証券代行機関
企業の株式や債券の管理、配当金の支払い、株主名簿の管理などを代行する機関のことです。企業は株式関連業務の効率化を図り、投資家に対するサービスの向上を実現します。IPOの際には、証券代行機関の選定が重要であり、信頼性とサービスの質が求められます。
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証券取引所
株式や債券などの有価証券の売買が行われる市場のこと。企業が資金調達を行う場として重要な役割を果たすとともに、投資家に対して透明で公正な取引環境を提供しています。IPOを行う企業は、証券取引所の上場基準を満たす必要があり、その審査を経て上場が承認されます。
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上場基準
証券取引所が定める、企業が上場するために満たさなければならない要件のこと。財務指標、ガバナンス体制、情報開示の適正性などが含まれます。上場基準をクリアすることで、企業は投資家に対して信頼性を示すことができ、資金調達の機会を得ることが可能になります。上場基準は、企業の健全性と透明性を保証するために重要です。
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上場ゴール
創業者が利益獲得を目的とした上場とみられる状況や、上場時の初値が高値でその後株価が下落し続けるような会社に対して揶揄する言葉です。上場後の経営も非常に重要であり、持続的な成長と株主価値の向上が求められますが、上場後に業績の下方修正を頻繁に行う会社も同様に表現されることがあります。創業者や未上場時の株主であるベンチャーキャピタルなど、売却益の獲得をゴールに見据えて上場することは当然の目的でありながら、上場ゴールと見なされると上場後に会社のイメージ低下を招き、経営陣が大きく信用を失うこともあります。
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上場審査
企業が株式市場での公開を目指す際に証券取引所が行う評価プロセスのことです。この審査は「形式要件」と「実質審査基準」の二つの主要な基準に基づいています。形式要件では、株主数や流通株式量などの具体的な条件が評価され、実質審査基準では、企業の継続性、収益性、経営の健全性、コーポレートガバナンスなどが深く検討されます。これにより、企業が市場で公正に評価され、投資者保護が図られます。
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新株予約権
発行した株式会社に対して権利を行使することによって、その会社の株式の交付を受けることができる権利のことを指します。企業が第三者に対して有償で発行する資金調達の手段のひとつです。権利所有者は、新株予約権を行使して一定の行使価格を払い込むことで、会社に新株を発行させる、もしくは会社が保有する株式を取得することができます。新株予約権は、ストックオプション、転換社債(CB)の転換権、新株引受権(ワラント)等の総称です。
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シンジケート団
シ団とも言います(以下シ団)。複数の金融機関や投資家が一つの融資や投資案件に参加することで資金を提供するグループのことです。通常、大規模な融資や資金調達が必要な場合、単一の金融機関や投資家だけではリスクを分散できず、また必要な資金を調達できない場合があるため、シ団が組成されます。シ団は、主催銀行(リードマネージャー)を中心として、他の銀行や投資ファンド、保険会社などが参加します。主催銀行は案件の主導を担い、他の参加者との交渉や手続きを管理します。参加者はそれぞれの条件に基づいて融資額や投資額、金利などを決定し、共同でリスクを分担します。IPOにおいては主幹事証券を中心として、他の証券会社が参加し、グループが形成されます。シ団は、企業の資金調達やプロジェクトの資金調達によく用いられます。特に大規模なM&A(合併・買収)やプロジェクトファイナンス、国際的な取引において頻繁に利用されます。シ団は、多様な金融機関や投資家の知識やリソースを組み合わせ、大規模な取引に対するリスクの分散や資金の効率的な調達を可能にします。
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申請期
N期とも呼ばれ、上場審査年度のことを指します。N期では、主幹事証券会社の引受審査部門による引受審査後、上場申請を行うと各証券取引所の上場審査部による公開審査が行われます。公開審査は約2~3カ月の審査期間が目安で、多くの質問事項がこの審査で問われますが、迅速に回答することが求められます。上場承認がおりた後は約1カ月のファイナンス期間を経て上場となります。
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SWOT分析
企業やプロジェクトの戦略計画を立てる際など、現状分析をするときなどに使うフレームワークです。その環境を「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つの要素に分類して評価します。この分析を通じて、企業は自身の競争優位を明確化し、戦略的な意思決定を行うための洞察を得ることができます。
強み(Strengths):企業が持つ内部の有利な要素や資源で、他社との競争において優位性をもたらすものです。特許、強力なブランド名、優れた顧客サービスなどが含まれます。
弱み(Weaknesses):企業が持つ不利な要素や欠点で、競争において不利に働くものです。資源の不足、コスト構造の問題、内部プロセスの効率性の欠如などが含まれます。
機会(Opportunities):市場環境や外部の要因に基づいて、企業が利用できる可能性のある要素です。新たな市場、技術の進歩、規制の変更などがこれに該当します。
脅威(Threats):外部環境における不利な要素で、企業の成長や存続に影響を与える可能性のあるものです。競争の激化、経済状況の悪化、技術の陳腐化などが考えられます。
SWOT分析を行うことで、企業はこれらの要素をシステマティックに評価し、戦略を調整して全体のパフォーマンスを向上させることが可能になります。 -
スタンダード市場
東京証券取引所の市場区分再編により設立された、中堅企業を対象とした株式市場です。この市場は、プライム市場とグロース市場の間に位置づけられ、投資対象として適切な流動性とガバナンスを備えている企業が集まります。スタンダード市場には、株主数400人以上、流通株式数2,000単位、流通時価総額10億円以上、直近1年間の利益が1億円以上などの具体的な上場基準が設定されています。この市場の目的は、中堅企業に安定した成長の機会を提供し、投資家には適切なリスクとリターンのバランスを提供することにあります。また、この市場は中堅企業が次のステップへ進むための支援を行い、企業価値の向上に寄与することが期待されています。
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ストックオプション
自社の株式を原資産とするコールオプションで、会社法第236条で規定されている新株予約権の一つ。あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で買う権利のことで、新株予約権のうち、企業が取締役、従業員、監査役や執行役に準ずる者へ報酬として付与するものです。買い手はオプション料と引き換えに、オプションの権利を得られます。設定される自社株の価格は、発行時の時価がそのまま行使価額となることが一般的です。この制度は、従業員のモチベーション向上でよく用いられます。付与対象の基準は各社自由に設定が可能ですが、明確な付与基準をもち、制度への理解を進めることでより効果的なインセンティブの意味をなします。ただし、一定の期間が経過するごとに段階的に権利行使ができるべスティング条項をつけ、株価の大幅な変動や従業員の一斉離脱などを防ぐこともポイントです。
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スモールミーティング
投資家向けのイベントであり、新規株式公開(IPO)や株式の追加発行に先立って、企業の経営陣が少数の機関投資家やアナリストと個別に会うことを指します。このミーティングの主な目的は、より詳細な情報交換と直接的なコミュニケーションを通じて、企業の戦略や財務状況、市場展望などを深く理解してもらうことです。スモールミーティングは、参加者が限られることから、投資家が具体的な疑問に対して直接経営陣から回答を得られる機会を提供し、投資判断の精度を向上させる効果が期待されます。この形式のミーティングは、特に投資家との信頼関係を築き、長期的な投資を促進する上で重要な役割を果たします。
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税制適格ストックオプション
権利行使時の課税について繰り延べができる無償ストックオプションのこと。租税特別措置法第29条2の要件を満たしたものを指します。新株予約締結時、権利行使時には払い込みや税金は発生せず、株式譲渡時に課税されます。適用する場合には、付与対象者、権利行使期間、権利行使価額、発行形態等において一定の条件を満たす必要があります。これらの条件を満たさない場合は、税制非適格の有償ストックオプションとなるため注意が必要です。
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遡及監査
監査契約を締結する以前の期間にさかのぼって行う監査のことを指します。上場をするためには、本来、上場直前2期間の会計監査を受ける必要がありますが、IPOの準備期間を短縮することを目的に、遡及監査を実施する場合があります。但し、昨今の上場審査や監査の厳格化により、遡及監査をするケースはあまり見られません。
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第三者割当増資
既存の株主以外の第三者に対して新株を発行し、資金調達を行う方法です。成長資金の調達・負債削減のための資金調達・事業再編や企業買収などでよく用いられます。一般公募による増資と異なり、特定の投資家に対して株式を割り当てるため、迅速に資金調達を行うことができるというメリットがあります。ただし、既存株主の持株比率が希薄化する可能性があるため、企業はその点を十分に考慮し、株主の理解を得ることが重要です。また、この増資方法は、公正かつ透明なプロセスで行われることが求められ、適切な情報開示が必要となります。
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ダウンラウンド
スタートアップ企業が資金調達を行う際に、前回の資金調達ラウンドよりも低い企業評価額で資金を集めることを指します。この現象は、企業の業績が期待に達していない、市場環境が悪化している、あるいはリスクが高まっていると投資家が判断した場合に起こります。ダウンラウンドは、既存の株主にとって希薄化の影響が大きく、彼らの持株価値が減少することを意味します。新たに株式を購入する投資家にとっては、より低い価格で企業の株式を得ることができるため、将来的なリターンの可能性を高めることができますが、同時に企業の将来に対する懸念も反映しています。ダウンラウンドは、企業にとって資金を確保するための厳しい選択であり、企業の評価額の低下や市場の信頼喪失を避けるために、しばしば他の資金調達方法や経営戦略の見直しが求められます。このようなラウンドは、特に高成長が期待されるスタートアップ業界で、市場の変動や競争の激化が影響する場合に見られます。
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中間審査
IPOにおいて、証券取引所が審査する以前に主幹事証券会社が行う証券審査のうち、まず公開引受部門が準備指導をし、ある程度の準備状況になったところで審査部門が行う審査のことを指します。中間審査は上場準備にかかる法律等で定められている制度ではないため、主幹事証券により実施方法等は異なります。中間審査を実施することで、早期に審査部門が上場準備会社の状況を把握し、改善に繋げられるため、より効率的に準備を進められるメリットがあります。
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直前期
N-1期とも呼ばれ、上場審査年度の1期前のことを指します。上場申請時に開示する財務諸表等の基準となる期であることから基準期とも呼ばれています。
N-2期で社内管理体制の構築を完了し、N-1期で運用することが必要とされており、上場会社として各種内部管理体制が運用できるレベルのコーポレート・ガバナンス体制かどうかという点がN-1期では重要なポイントになります。最終的な内部管理体制の見直しや、上場申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部もしくは各種説明資料)の作成・精査などが必要です。この期に主幹事証券会社による証券審査も実施されます。足りない部分はアウトソーシングなども検討して進めていくことが大切です。 -
直前々期(直前前期)
N-2期とも呼ばれ、上場審査年度の2期前のことを指します。一般的にN-2期では、前期(N-3期)に監査法人が実施したショートレビューの結果を踏まえて、改善事項の明確化、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンス体制を含めた内部管理体制の構築・整備、子会社を含む関係会社・関連当事者取引の整理等を進めていくフェーズです。また、IPOに向けた会計監査の開始、主幹事証券会社との契約や公開引受部門が関与するタイミングにもなります。内部統制報告制度(J-SOX)への対応を始めるなど、上場企業としてふさわしい体制づくりに着手、改善・運用をし、直前期へとつなぐ大切なフェーズともいえます。
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デカコーン
デカコーン企業は、創業10年以内で未上場ながら評価額が100億ドル以上に達するベンチャー企業です。この名称は「10倍」を意味する「デカ(deca)」と幻の生き物「ユニコーン」を組み合わせた造語で、通常のユニコーン企業が1億ドル以上の評価を持つのに対し、デカコーンはさらにその10倍の市場評価があることを示します。デカコーンは、特にテクノロジーやフィンテックなどの分野で急速に成長を遂げる企業に見られ、その革新性や市場での影響力は極めて大きいです。評価額が1,000億ドル以上になると、これをさらに超える「ヘクトコーン」と称されます。デカコーン企業は、その巨大な市場価値と成長潜力により、グローバルな投資と産業のトレンドに大きな影響を与える存在となっています。
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取締役
会社の業務執行に関わる重要な意思決定を行う役員で、その役割と責任は会社法によって規定されています。取締役の主な任務は、会社の運営方針や経営戦略を定め、それを実行することです。取締役は株主総会で選出され、一般的に任期は2年ですが、株式会社の種類によっては最長10年まで延長可能です(任期満了後、次も役員に就任する重任(再任)は可能ですが、役員登記手続き等が必要です)。取締役の中には、社外取締役や代表取締役など特定の役割を持つ者もおり、彼らは通常、会社の業務執行において特別な責任を負います。取締役は会社の法人格とは独立した存在であり、その行動は会社に直接的な影響を与えるため、高い倫理観と責任感が求められます。また、取締役が適切に職務を果たさない場合、会社法に基づき責任を問われることもあります。
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内部統制の3点セット
一般的に、内部統制報告制度(J-SOX)の対象となる企業は、内部統制を把握するための3つのツール、「業務記述書」「フローチャート」「リスクコントロールマトリックス(RCM)」という書類を作成します。これらの書類を内部統制(J-SOX)の3点セットと呼びます。これらの作成は義務ではありませんが、作成することで内部統制報告制度(J-SOX)への対応を効率よく進めることができるようになります。既存の業務マニュアルや諸規程類を利用して業務記述書やフローチャートの代わりとし、必要に応じてRCMのような図表を作成することも一つのやり方です。
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Ⅱの部
企業が証券取引所への上場申請に際して提出する一連の資料の中で、Ⅰの部と対をなす形で提出されるものを指します。正式名称は「新規上場申請のための説明資料(Ⅱの部)」です。
Ⅱの部には、上場申請の理由、企業グループ概況、事業概況、経営管理体制等、株主等の状況、経理・財務状況、予算統制等、過年度の業績等、今後の見通し、その他係争や顧問契約等といった内容を盛り込み、Ⅰの部をより広範かつ詳細に記載することが求められます。Ⅰの部同様に上場審査のための実質的な審査資料となりますが、Ⅰの部と異なり、主幹事証券会社や証券取引所など上場審査の関係者以外には公開されません。主に上場審査を担当する審査官や関係機関によって、企業の適格性や市場への適切性を評価するために使用されます。 -
発行体
IPOを行う企業のことを指します。発行体は、株式を市場に公開して資金調達を行うために、各種書類の作成や提出、法的手続きの遂行などを行う必要があります。発行体の責任は大きく、投資家に対して正確かつ信頼性のある情報を提供する義務があり、財務状況や事業内容、リスク要因などの詳細な開示が含まれます。発行体の信頼性と透明性は、IPOの成功に直結する重要な要素です。
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初値
株式などの金融商品が公開市場で最初に取引された際の価格のことを指します。特にIPOの場合、初値は多くの投資家にとって大きな注目点となります。この価格は、市場の需給バランスや投資家の期待値によって決定され、初値の水準はその後の株価動向にも影響を与えることがあります。
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バリュエーション
企業が株式公開(IPO)を行う際に、その企業の価値を評価するプロセスです。この評価は、企業の財務状況、市場ポテンシャル、過去の業績、業界内での位置づけ、将来の成長見込みなど多岐にわたる要素を考慮して行われます。バリュエーションによって算出された企業価値は、株式の初期公開価格の設定に直接影響し、投資家がその企業の株式に投資する際の参考となります。正確なバリュエーションは、公開市場での企業の成功を左右する重要な要素であり、企業の透明性と信頼性を投資家に示す手段ともなります。適切なバリュエーションにより、企業は適正な資金を調達し、長期的な成長の基盤を築くことが可能になります。
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PER
Price Earnings Ratioの略称で、「株価収益率」とも呼ばれ、株価を一株当たりの純利益(EPS:Earnings Per Share)で割った値です。この指標は、投資家が株式を評価する際に一株あたりの企業の利益とその株価の関係を測るために広く使用されます。
PERは、株価が企業の稼ぐ力に対してどれだけのプレミアムを払っているかを示す指標であり、株価がその企業の利益をどの程度「割高」または「割安」で評価しているかを投資家に伝えます。例えば、PERが高い場合、株価は利益に比べて高く、市場がその企業の将来の成長を期待している可能性が高いと解釈されます。逆に、PERが低い場合は、株価が利益に対して比較的安いことを意味し、市場がその企業の成長潜力を低く評価しているか、あるいは何らかのリスクを織り込んでいると考えられます。
PERは単独で用いるよりも、業界平均や他の同業他社との比較、歴史的なPERとの比較によってより有意義な洞察を得ることができます。このようにして、投資家は企業が過去または業界内でどのように評価されてきたか、そして市場の現在の感情を理解する手がかりを得ることが可能です。 -
PBR
Price-to-Book Ratioの略称で、「株価純資産倍率」とも呼ばれ、企業の株価がその帳簿上の純資産価値に対してどれだけの割合で評価されているかを示す指標です。この指標は、株価を一株当たり純資産(株主資本を発行済み株式数で割ったもの)で割ることによって計算されます。
PBRが1倍であれば、株価はその企業の帳簿上の純資産価値と等しいことを意味し、市場が企業の資産価値を適正と評価していると解釈されます。PBRが1倍未満であれば、株価が純資産価値を下回っており、過小評価されている可能性があることを示しています。一方で、PBRが1倍を超える場合、株価が純資産価値を上回っているため、市場がその企業に対してポジティブな期待を持っていること、または他の非物質的価値を評価していることが考えられます。
PBRは、特に資産が企業価値に大きく寄与する業界や、実質的な資産価値が株価に影響を与えるべき企業の評価に有用な指標です。投資家はPBRを使用して、企業が保有する資産の市場価値と比較し、投資判断の一環として活用します。 -
非常勤取締役
フルタイムで勤務するのではなく、特定の会議や重要な意思決定の際に参加する取締役を指します。非常勤取締役は、外部の視点を持ち込み、企業の経営に対する客観的な監視を行う役割を担います。IPOにおいては、非常勤取締役の存在が企業のガバナンス体制の一環として評価されます。会社法上の社外取締役とは異なります。
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ブックビルディング
IPOや既存銘柄の公募増資時に証券会社が行う需給調査プロセスです。公開価格を決定する前に投資家からの需要を把握するために行われます。証券会社は、投資家に対して仮の価格帯を提示し、その範囲内で株式を購入したい数量を申告してもらいます。この情報をもとに、最も適切な公開価格が設定され、株式の公正かつ効率的な配分が目指されます。ブックビルディングにより、市場の透明性が向上し、公開初日の株価の安定に寄与することが期待されます。
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プライム市場
東京証券取引所の市場区分再編により2022年に設立された、国内外の機関投資家の投資対象となる大企業向けの株式市場です。この市場は、旧東証一部に該当し、上場企業は高いガバナンス基準と持続可能な成長を実現するための戦略を持つことが求められます。プライム市場の上場基準には、株主数800人以上、流通株式数2万単位以上、流通時価総額100億円以上、最近1年間の利益合計が25億円以上等の基準が設けられており、大規模な企業のみが参入でき、流動性の高い株式を提供することが期待されています。プライム市場に上場することで企業は、より広い範囲の投資家にアピールし、その企業価値の向上を図ることができます。また、市場の信頼性を高め、投資家との積極的なコミュニケーションを通じて、中長期的な成長を促進することが目指されています。
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ベスディング
一定期間が経過することでストックオプションの権利が確定する制度のこと。権利が付与された後に一定期間が経過するまで権利を行使できない場合と、権利が付与された後に一定の期間ごとに行使できる株式の割合が増える場合の2つに分けられます。ベスディングの基準日は、上場日・入社日・ストックオプションの割当日をそれぞれ基準とし開始されます。この制度があることで、役職員の退職や株価の大幅な下落を回避することができます。
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ベンチャーキャピタル(VC)
ベンチャーキャピタル(VC。以下VCと表記。)は、高い成長可能性を持つベンチャー企業に対して初期から中期にかけて投資し、その成長と共に投資収益を狙う投資家や投資機関を指します。VCは通常、事業の発展段階に応じて資金を提供し、企業の経営支援や技術開発、市場拡大などを促進します。特にIPOを視野に入れた投資戦略では、VCは株式の大株主となることが多く、上場を成功させるための重要な役割を担います。しかし、VCには上場後に投資回収を目的とした売却を行うインセンティブがあるため、時には上場後の株価に売り圧力となり得ることもあります。投資家はこの点を認識し、VCの持つ株式に対する潜在的な売り圧力を考慮に入れた投資判断を行う必要があります。VCはリスクを取ることで知られており、そのリスクを背負うことで大きなリターンを狙うため、ベンチャー企業にとっては成長資金の調達手段として、また投資家にとっては大きな収益機会として存在します。
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目論見書
企業が新株式発行や株式の売出しを行う際に投資家に提供する重要な書類です。正式名称は「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」です。この書類は、投資家が企業の株式に投資する際に重要な情報を提供します。IPOの際、上場準備において作成するIの部とほぼ同様の内容になり、IPO後に開示する有価証券報告書と類似します。
目論見書には、以下のような内容が含まれます:
企業概要: 企業の業績、事業内容、業界の特性など
財務情報: 過去の財務状況や業績、将来の見通し、財務指標など
リスクファクター: 投資に関連するリスク要因(投資家がリスクを理解するための情報)
事業計画: 企業の将来の成長戦略や事業計画
株式の利益配当: 株主に対する利益配当政策や株主優待制度
主幹事証券会社の情報: 主幹事証券会社の役割や販売方法、手数料
目論見書は、株式市場における情報の対称性を保つために重要な役割を果たします。これにより、投資家は企業の概要やリスクを理解し、自らの投資判断を行うための情報を得ることができます。 -
持株会社
持株会社は、他の会社の株式を保有し、それによって他社の経営管理を行う会社です。主な目的は、傘下にある複数の企業間での効率的な資源配分と統一された経営方針の確立を通じて、企業群全体の価値を最大化することにあります。持株会社には、純粋持株会社と事業持株会社の二種類があります。純粋持株会社は他社株の保有及び経営管理が主な事業であり、自らは生産活動やサービス提供を行いません。一方、事業持株会社は持株会社機能と自らの事業活動を両方行います。持株会社制度のメリットには、経営資源の集中管理や戦略的な再編が容易であること、リスク分散が可能であることなどがありますが、グループ内での意思決定の遅延や管理コストの増大などのデメリットも存在します。
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持分法適用会社
投資会社が所有する議決権の比率に応じて、その被投資会社の純資産や損益の変動を自社の財務諸表に反映させる関連会社です。この会計方法は主に、投資会社が被投資会社に対して重要な影響力を持つが、経営権の支配までは及ばない場合(通常は議決権の20%以上50%未満)に適用されます。持分法による会計処理では、被投資会社の業績が直接投資会社の利益に影響を及ぼすため、投資会社の損益計算書には「持分法による投資損益」としてその結果が反映されます。この方法により、投資会社は関連会社の価値変動を適切に自社の財務状況に組み入れることができ、投資家に対する情報の透明性と理解を深めることが可能になります。
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ユニコーン
ユニコーン企業は、未上場でありながら時価総額が10億ドルを超えるベンチャー企業を指します。この用語は、そうした企業が希少であった2013年ごろに生まれ、幻の生き物「ユニコーン」にちなんで名付けられました。ユニコーン企業は、革新的なビジネスモデルや急速な成長が特徴であるため、大きな市場の潜在力を秘めており、技術革新や新たなサービスで市場を変革する可能性を持っています。投資家にとっては高リスクだが高リターンも期待される投資対象であり、その動向はスタートアップエコシステムにおいて注目されています。
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連結子会社
連結子会社は、親会社がその子会社の意思決定に実質的な影響を与えることができる企業です。具体的には、親会社が子会社の議決権の過半数を保有している場合、または経営陣の重要なポジションに人材を派遣することで子会社の経営に参画している場合に、その子会社を連結子会社と見なします。連結子会社は、親会社の連結財務諸表において、その財務状況や業績が完全に組み込まれるため、親会社と連結子会社の間の内部取引や未実現利益は適切に消去されます。これにより、親会社の投資家やステークホルダーは、グループ全体としての真の経済状況を把握することができ、より適切な経営判断や評価が行えるようになります。
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連結財務諸表
連結財務諸表は、親会社とその子会社を含む企業グループ全体の経済的状況を一つの単位として表した財務報告書です。連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュフロー計算書、連結株主資本等変動計算書が含まれます。連結財務諸表の作成プロセスは、各企業が作成した個別の財務諸表を基に、親会社が子会社との間で発生した内部取引や未実現利益を適切に調整(連結修正)し、企業グループ全体の財務状態や業績を正確に反映させることを目的としています。このプロセスには、親会社と子会社間の取引を相殺したり、グループ内で未実現された利益を消去するなどの作業があります。連結財務諸表は、投資家や他のステークホルダーが企業グループ全体の真の経済状況を理解するのに不可欠であり、適切な投資判断や評価に必要な情報を提供するものです。
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ロードショー
新規株式公開(IPO)や債券発行の前に、投資家を対象として行われる一連のプレゼンテーションや会議のことです。企業の経営陣や財務担当者が国内外の主要都市を巡り、機関投資家やアナリストに対して企業の財務状況、業績予測、ビジネスモデルなどを説明し、その企業に対する理解を深めてもらうことが目的です。この過程を通じて、企業は投資家からの信頼を獲得し、株式や債券の販売成功につなげることが期待されます。ロードショーは、企業が市場に受け入れられるかどうかを探る重要な手段であり、投資家側にとっても直接経営陣から情報を得る貴重な機会となります。
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ロックアップ
株式の大量売り出しによる市場への悪影響を防ぐために、新規公開株(IPO)の際に大株主がその株式を一定期間、市場で売却できないよう制約を設ける合意を指します。この制度は特に新規上場直後の株価の急激な変動を抑制し、市場の安定化を図るのが目的であり、ロックアップ期間中は、指定された大株主や経営陣、場合によってはベンチャーキャピタルなどの早期投資者は株式の売却が禁止されます。ロックアップ期間が終了すると、これらの株主は株式を市場で売却する選択肢が生まれるため、この時点で市場に対する売り圧力が増大する可能性があります。ロックアップの期間は通常、IPO後数ヶ月から1年程度とされていますが、市場や業界の慣行、または企業の具体的な状況によって異なります。ロックアップが解除された後の株価への影響は大きいため、投資家はロックアップ期間の終了を重要なイベントと捉え、その前後の株式の動向に注意を払います。企業にとってはロックアップ期間を利用して、投資家に対する信頼を築き、長期的な価値創造へのコミットメントを示すチャンスとなりますが、一方でロックアップ解除が株価に与える影響を過小評価しないよう、事前にしっかりと計画を立てる必要があります。