
法務
法務
「法務」は、企業が法的なリスクを最小限に抑えながら事業を展開し、法的紛争を解決するための部門です。法務部門は、契約の作成と解釈、知的財産権の保護、規制遵守、紛争解決、リスク管理など、多岐にわたる業務を担当します。特に、企業が新たな市場に進出する際や取引を行う際には、法務の専門知識が不可欠です。また、法務部門は外部の法律顧問や弁護士との連携を通じて、企業が法的リスクを適切に評価し、法的問題を解決するための支援を提供します。これにより、企業は法的な安定性を確保し、持続可能な成長を実現することができます。
そんな「法務」に携わる方が知っておきたい法務用語を本ページでご紹介いたします。
- アドバイザリー契約 >
- ESG法務 >
- インハウスローヤー >
- NDA >
- 準拠法 >
- 商事法務 >
- 戦略法務 >
- 反社条項 >
- 非弁行為 >
- プライバシーポリシー >
- 弁護士法 >
- 弁護士法人 >
- 法科大学院(ロースクール) >
- 約款 >
- 予防法務 >
- リーガルテック >
- 利用規約 >
- 臨床法務 >
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アドバイザリー契約
企業や個人が専門家から継続的な助言やコンサルティングを受けるために締結する契約を指します。主に経営、財務、法務、技術などの分野で活用され、専門知識や経験を持つアドバイザーが、戦略立案や意思決定の支援を行います。契約内容には、提供される業務の範囲、報酬体系、契約期間、守秘義務などが明記されます。一般的に、アドバイザーは業務遂行の責任を負わず、助言にとどまる点が特徴です。企業はこの契約を通じて、社内にない専門知識を活用し、事業のリスク管理や成長戦略の強化を図ることができます。
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ESG法務
企業が環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の視点を重視しながら、法的リスクを管理し、持続可能な経営を実現するための法務対応を指します。具体的には、環境規制対応、人権・労働問題への取り組み、取引先の適正調査、コーポレートガバナンスの強化などが含まれます。ESGの重要性が高まる中、企業は法令遵守だけでなく、ESGに関連する各種規制やガイドラインに適合することが求められています。適切に実践することで、企業の社会的信用を向上させ、投資家やステークホルダーの評価を高めることが可能となります。
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インハウスローヤー
企業や団体に所属し、内部の法務業務を担当する弁護士のことを指します。「企業内弁護士」「組織内弁護士」とも呼ばれます。外部の法律事務所に所属する弁護士と異なり、企業内で経営戦略やリスク管理に関与しながら、契約審査、コンプライアンス対応、紛争解決、M&A支援などの業務を行います。インハウスロイヤーの利点は、企業の業務内容や経営方針を深く理解し、迅速かつ実践的な法的サポートを提供できる点です。近年、多くの企業が法務リスク管理を強化するため、インハウスロイヤーの採用を進めています。
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NDA
Non-Disclosure Agreementの略で「秘密保持契約」を指します。契約当事者間で共有される機密情報の漏洩や不正利用を防ぐために締結される契約です。具体的には、開示される情報の範囲、利用目的、秘密保持の期間、違反時の措置などが定められます。新規事業や技術開発、業務委託など、機密情報の共有が必要な場面で広く用いられます。これにより、企業や個人は知的財産や競争力を保護できるほか、信頼関係を構築する土台ともなります。締結時には、契約内容を十分に確認し、過剰な制約や曖昧な条項がないか注意することが重要です。
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準拠法
契約や法律関係において、その解釈や適用に基づく基準となる法体系を指します。国際取引や多国間の関係において、どの国の法律を適用するかを明確にするために設定されます。契約書にこれを明記することで、紛争発生時に解釈の混乱を防ぎ、迅速かつ公平な解決を図ることが可能です。一般的には契約当事者が自由に選択できますが、場合によっては適用法の強行規定が優先されることもあります。この選定については、法的リスクや取引環境を踏まえ、慎重に行う必要があります。
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商事法務
企業活動における商取引や組織運営に関連する法的な事項を扱う分野を指します。具体的には、会社法、商法、金融商品取引法などの法律に基づく取引や契約の作成・管理、株主総会や取締役会の運営、総会対策、コンプライアンス対応が含まれます。また、M&Aや事業再編、企業間の紛争解決といった複雑な業務も含まれることがあります。これは企業の円滑な運営やリスク管理を支える重要な役割を担っており、専門知識を持つ法務部門や総務部門、弁護士が主に対応します。
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戦略法務
企業の経営戦略、目的、ビジョンを達成するために、法的側面からビジネスを積極的に支援する役割を持つ法務活動です。いわゆる「攻めの法務」とも呼ばれます。この分野は、企業が直面する法的問題やリスクを戦略的に管理し、企業のビジネス戦略や目標の達成を法的な視点から支えることを目的としています。例えば、新規事業の立ち上げ、海外進出、M&Aなどの重要なビジネス取引における場面で、法的アドバイス、法的アプローチ、サポートを期待されます。また、知的財産権の管理や活用、新規取引のリスク評価、契約戦略の立案といった業務も含まれます。戦略法務の実務では、特に経営層と密接に連携し、ビジネス戦略に合わせた法的解決策の提案が求められるため、基本的な法的知識はもちろんのこと、経営視点をもったアプローチができる能力も求められます。
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反社条項
契約書において、反社会的勢力との関係を排除するために設けられる規定を指します。この条項には、契約当事者が暴力団やその関係者などの反社会的勢力に属していないこと、関与が判明した場合には契約を解除できることなどが含まれます。これを設けることで、企業が反社会的勢力との関係を断絶し、法令遵守や社会的信用の維持を図ることが可能となります。また、企業は反社条項を適切に運用するため、相手方の事前調査や情報収集を行うことが求められます。
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非弁行為
弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で法律事務を行うことを指し、弁護士法第72条により禁止されています。これには、法律相談、訴訟代理、示談交渉などが含まれます。非弁行為の典型例として、無資格者が他人の依頼で裁判手続きに関与したり、報酬を得て法律文書を作成したりするケースがあります。また、弁護士資格を持たない企業や団体が法律業務を提供することも非弁行為に該当する可能性があります。非弁行為は、法律の専門知識を持たない者が関与することで、依頼者に不利益をもたらし、司法制度の公正性を損なうリスクがあるため厳しく規制されています。違反した場合、刑事罰の対象となることもあり、依頼者側も注意が必要です。ただし、司法書士や行政書士など一部の士業には、法令で限定的に認められた範囲で法律業務を行う権限が与えられています。
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プライバシーポリシー
事業者や団体が利用者や顧客の個人情報をどのように収集、利用、管理するかを定めた方針を明示する文書を指します。具体的には、収集する情報の種類、利用目的、第三者提供の有無、情報保護の方法、利用者の権利などが記載されます。公開することで、個人情報の取り扱いに関する透明性を確保し、利用者の信頼を得ることができます。また、法令に基づく義務でもあり、特に個人情報保護法やGDPR(欧州一般データ保護規則)への対応が求められる場合があります。
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弁護士法
弁護士の資格要件、業務範囲、義務、弁護士会の役割などを定めた法律で、弁護士の適正な職務遂行と法的サービスの公正性を確保することを目的としています。この法律により、弁護士は司法試験合格後、司法修習を経て日本弁護士連合会に登録することで正式に資格を取得します。弁護士は法律相談、訴訟代理、契約書作成など幅広い業務を担当し、依頼者の権利を守る役割を担います。また、弁護士には守秘義務や利益相反の回避が義務付けられ、違反した場合には懲戒処分の対象となります。さらに、非弁活動(弁護士資格を持たない者による法律業務)の禁止や、弁護士法人の設立要件も規定されています。弁護士法は、司法制度の信頼性を維持し、国民が適切な法的支援を受けるための基盤となる重要な法律です。
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弁護士法人
複数の弁護士が共同で業務を行うために設立される法人で、弁護士法に基づいて設立されます。個人事業として活動する弁護士とは異なり、法人格を持つため、継続的な業務運営や組織的な対応が可能となります。この法人は、法律事務所の拠点を複数持つことができ、業務の効率化や事業承継の容易さがメリットです。また、法人として契約を締結できるため、クライアントに対して安定した法的サービスを提供しやすくなります。ただし、代表弁護士や所属弁護士には、通常の弁護士と同様に弁護士法や倫理規定の遵守が求められます。
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法科大学院(ロースクール)
法律の専門知識や実務能力を養成するための高度な専門職大学院であり、主に法曹(裁判官、検察官、弁護士)の育成を目的としています。大学卒業者を対象に、法律の基礎知識を学ぶ「未修者コース」と、一定の法律知識を持つ人向けの「既修者コース」が用意されています。修了後には司法試験の受験資格が得られ、試験合格後に司法修習を経て法曹資格が付与されます。理論と実務の両面を重視した教育が行われ、法曹界だけでなく、企業法務や行政分野で活躍する人材の育成にも貢献しています。
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約款
契約内容を画一的に定めた標準的な条項や規定を指します。保険契約や賃貸契約、インターネットサービスの利用契約など、多数の顧客と同様の条件で契約を結ぶ際に使用されます。事前に作成されるため、契約手続きの効率化や条件の明確化に寄与しますが、内容が一方的にならないよう、消費者保護の観点から法的規制を受ける場合があります。契約当事者はこの内容に同意することで契約が成立しますが、その内容を十分理解し、必要に応じて疑問点を確認することが重要です。
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予防法務
法律的な問題が生ずる前の段階で、あらかじめトラブルや紛争が起こらないように予防策を講じる法務活動です。具体的な業務としては、契約書の作成・チェック、社内規程の作成・チェック、労働関連の法規制遵守、ビジネスプロセスの法的監査、社内コンプライアンスプログラム・体制の強化、知的財産権の保護などがあげられます。これにより、企業は法的なトラブルによる費用や時間の損失を最小限に抑え、企業の信用やブランド価値を守り、ビジネスの持続可能性を高めることが可能になります。予防法務は企業法務の実務の中で最も割合の多い業務です。
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リーガルテック
法律業務における効率化や精度向上を目的に、テクノロジーを活用するサービスやソリューションを指します。具体的には、AIやクラウド技術を用いた契約書レビュー、自動文書作成、法律調査ツール、eディスカバリー(電子証拠開示)システムなどがあります。これにより、時間やコストの削減が可能となり、法務業務の質が向上します。また、弁護士や企業法務部門だけでなく、スタートアップや中小企業にも利用が広がりつつあります。法務業界のデジタル変革を支える重要な分野として注目されています。
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利用規約
サービス提供者が利用者に対して提示する、サービスの利用条件やルールを定めた文書を指します。具体的には、利用者の権利義務、禁止事項、免責事項、個人情報の取り扱い、契約の解除条件などが記載されます。オンラインサービスやアプリ、会員制サービスなどで広く用いられ、利用者が同意することで契約が成立します。サービス提供者は、トラブル防止や法的リスクの回避のために、内容を明確かつ適法に定めることが求められます。一方、利用者は、規約を十分に確認し、納得した上で同意することが重要です。
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臨床法務
会社でトラブルが起こった際に解決に導く法務活動です。既に起きてしまった法的紛争やトラブルをできる限り自社に有利な形で解決、損害を最小限に抑えることが目的です。
具体的には、他社から何らかの権利侵害を理由に訴えられた場合や他者から権利を侵害され訴える場合などの訴訟対応、各種クレーム・トラブル対応、損害賠償請求・和解、債権回収や財産の保全、コンプライアンス違反、社員・役員の不祥事への対応など、企業活動に関わるあらゆる問題に対応します。